沖縄で初めてとなる視覚障害者支援募金自動販売機が、石垣市内に4月に開院した「よしもとこどもクリニック」(石垣市登野城)に設置された。
この自販機は、福岡県で視覚障害者を総合的に支援する活動を行っている社団法人視覚障害者自立支援協会が自立支援事業の自主財源として設置を推進しているもので、全国では47台目。沖縄県では初めての設置となる。
同協会が行っている事業の一つが、歩行補助器「オーデコ」の購入費一部助成。「オーデコ」は小型カメラ内蔵のヘッドバンドと本体によって装着者の前にある物を認識する機器で、カメラに映った物体の輪郭をとらえ、形状をヘッドバンドの額の部分に電気刺激で伝える。遠くにあるもの、平面的なもの、動いているものもとらえることができるという。
同協会理事長の荒牧功一さんは「全国には約164万人の視覚障害者がいて、その多くは1人で歩くことができないために、自宅での閉じこもりの生活を余儀なくされている。オーデコを使えば1人で歩くことができ、社会復帰や自立も可能になる」と話す。体験した多くの人たちが「使ってみたい」と話しているが、購入費が約50万円と高額。荒牧さんは視覚障害を持つ女性から「一番困っていたトイレで便器の形がわかって助かった」と言われて改めてオーデコの実用性を感じ、「何とかしなければ、という思い」と語る。
設置した同クリニックの吉本栄司院長は「せっかく自販機を置くのだから、こんな取り組みがあることを知ってもらいたいと思った。医療機関として何か貢献できれば」ときっかけを話す。
自販機での募金額は1本につき3円。「できるだけ個人負担を軽くし、多くの視覚障害者が気軽に利用できるよう資金を集めたい」と荒牧さん。「障害者本人がこのような機器があることなど情報を得るのは難しい。健常者にも関心を持ってもらうことが情報の共有につながり、支援の輪が広がる」と期待を寄せる。