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大震災を乗り越えた医師が石垣で講演-「地域医療と連携」語る

宮城県災害医療コーディネーターの成田徳雄さんが石垣で講演

宮城県災害医療コーディネーターの成田徳雄さんが石垣で講演

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 宮城県気仙沼市で大震災を経験した医師らを招き、地域医療について考える講演会「地域を救う医療の大連携~東日本大震災の医療現場からのメッセージ~」が11月27日、八重山合同庁舎(石垣市真栄里)で開かれた。主催は石垣市、八重山地区医師会。

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 気仙沼市はお年寄りが多く、地域医療と自治体、市民との連携が重要だとわかっていながら連携不足を解決できないまま被災。全国各地との連携で地域医療を守った取り組みが注目されていると同時に地方都市が抱える問題をクローズアップした。同講演は八重山地域が同じように被災した場合にどう行動すべきなのかを考えるきっかけにしてもらうことが目的。

 講師は、宮城県災害医療コーディネーターで気仙沼市立病院脳神経外科長の成田徳雄さんと、今年9月まで気仙沼市立本吉病院で管理課長を務めた鈴木幸志さん。

 成田さんはまず津波発生直後から状況を説明。同病院は高台にあり浸水被害は免れたものの、通信手段が途絶え、電話やインターネットが回復するまで1週間を要した。その間に近くで火災が発生、仮設電源も3日で限界となった。「津波の後の火災は考えづらいかもしれないが、都市化した現代では必然。八重山でも十分考えられる」と成田さん。電源の問題については、「ボイラーを使った時の余熱エネルギーを再利用するハイブリッドを平時から使い、エネルギー管理することで、有事にも対応できるのでは」と提起した。

 災害医療コーディネーターの役割ついては、「大規模災害において基本的に命令系統は1本であることが望ましいが、2の手、3の手を考えなければならないことを思うと命令系統はいくつかあった方がいい。それを統制・調整するのがコーディネーターの務め」と説明。関係機関、地域組織とのオープンでフラットな情報管理体制の構築の必要性を説き「今回の震災で教えられたのは保健行政との連携。生活重視の対応が迫られ、これまで接点がなかった保健行政との協力が必要だった」と自らの体験を話した。

 今後起こるかもしれない大規模災害に向けては、「情報管理・伝達にはデジタルとアナログを併用する。ない場合は足で伝えるしかない」「国・行政が動くには時間がかかる。自らがコミュニティーを守る覚悟を持つ」「民間の機動性を活用するため普段から連携しておくことが大切。情報があれば物資も流通する」とアドバイス。

 最後に成田さんは「最終的には『人』。人が集まれば知恵も技術もある。信頼できる組織、ネットワークを作ってほしい」と話し、「災害に遭っても必ず誰かが助けに来てくれる。絶対に負けず、諦めないでほしい」と強く訴えた。

 この後、鈴木さんが自らの被災体験と全国から集まった応援部隊について紹介。石垣島での動きとして、八重山ハザードマップ研究会が取り組みを説明した。

当日は宮城県の被災状況や救助の様子を伝える写真パネルなども展示し、訪れた約250人がじっと見入っていた。

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