石巻で震災した獣医師、石垣で講演-ペットも多数被災

宮城県石巻市の獣医師・阿部俊範さんが石垣市で講演

宮城県石巻市の獣医師・阿部俊範さんが石垣市で講演

  •  
  •  

 東日本大震災を体験した獣医師の阿部俊範さんによる講演会「東日本大震災における石巻の動物救護活動」が1月28日、大浜信泉記念館で開かれた。主催は八重山獣医師会。

 体験談を聞くことで動物と共生する防災に役立ててもらおうと開催された同講演会。宮城県石巻市にある「あべ動物病院」院長である阿部さんは、病院が津波被害を受けながら院内に石巻動物救護センター仮事務所を開設。震災直後から多くの動物(ペット)救護や飼い主への援助を行った。現在は「仮設住宅動物支援ANNプロジェクト」として仮設住宅における動物の問題行動を解決し、動物たちのネットワーク作りに取り組んでいる。

[広告]

 200カ所以上の避難所、被災地域を巡回した経験から「動物の存在が人の心に変化をもたらした」と指摘。「避難所に同行避難した動物の多くはアイドル的存在になり、動物のいる避難所はそうでない所に比べ被災者も明るかった。存在が癒やしとなり、被災者同士の融和を図っていた」とその様子を紹介。それらの動物はしつけが行き届いていたことを強調し「しつけをしっかりしておくことで津波の際にもスムーズに逃げられ、どんな場所でも動物が社会の一員として見てもらえる。結果的に飼い主も動物も安住できる」と説いた。

 救護センターでは被災動物の保護、飼い主とのマッチング(動物との再会)、所有権放棄動物の譲渡、フードやペット用品の配布、無料診療と避妊・去勢手術、情報管理など多くの救護活動に奔走。全国から来たボランティアスタッフらの助けを借りながら、試行錯誤の中でセンター運営を続けた。「しつけ、ワクチン接種、狂犬病予防接種、避難所の同行避難が可能か否かの確認、避妊と去勢の実施、動物用非常持出袋(避難用)の準備、マイクロチップの装着を震災前準備として痛感した」と話し、参加者に向けて必要性を力説した。

 質疑応答では「義援金の集まり方や用途」「飼い主とのマッチングについてのアドバイス」「迷子札の有効性」「ボランティアスタッフの問題点」など質問が殺到。動物を抱えての被災や避難生活への意識の高さがうかがえた。

 八重山獣医師会会員の永長大輔さんは「ただ大変だったという状況を聞くだけでなく、次に起こり得ることを想定していかに対応すべきかを学べた。今回学んだことを実行に移し、周囲に伝えていくことの必要性もあらためて感じた」と話した。

 会場には獣医師をはじめ、動物の飼い主、津波被害や防災に関心の高い市民ら約30人が訪れ、真剣な表情で耳を傾けていた。

  • はてなブックマークに追加