平成24年度ロビー展「八重山博物館所蔵の唐人墓碑展」が現在、石垣市立八重山博物館(石垣市登野城)で開かれている。主催は石垣市教育委員会。
唐人墓碑は1852年に起きた痛ましい事件に起因する。中国から「苦力(クーリー)」と呼ばれる労働者を乗せて米国へ航行中だったアメリカの貿易船ロバート・バウン号内で、船長の虐待を契機に暴動が起き、船が座礁。380人の中国人苦力が石垣島に上陸したが、報告を受けた米英の兵士による銃撃や病死などによって、その多くが命を落としたといわれている。
この事件の後、犠牲となった中国人苦力の慰霊のため石積の墓が作られ、そこに死亡した年月日、出身地、姓名、年齢が刻まれた陶製の墓碑が収められた。また、1971(昭和46)年には石垣市が台湾政府や在琉華僑の支援もうけ、「唐人墓」と呼ばれる合祀(ごうし)墓も建立した。
ロビー展は唐人墓・墓碑や、それにまつわる悲劇、当時の人々の苦労の一端を市民に紹介することを目的に開催。同館が所蔵する墓碑5点のほか、事件の詳細を表した報告書や苦力を売買した際の契約書の翻訳文、労働者らに対しひそかに援助した島の住民や動揺する役人らを表した史料の解説資料など、パネル20枚が展示されている。
同館職員の島袋綾野さんは「墓碑は貴重な文化財なのでぜひ多くの方に見ていただきたい。墓の数だけあったのではといわれる墓碑もどれだけ残っているのか把握したいので、所有している人がいたらぜひ情報を寄せてほしい」と呼び掛けている。
開館時間は9時~17時。ロビー展のみの場合入場無料。7月8日まで。