石垣市と石垣島地方気象台主催の防災講演会が1月22日、石垣市市民会館大ホールで開催され、約750人が参加した。
講師の片田敏孝さんは群馬大学大学院理工学府の教授のほか、2010年からは広域首都圏防災センター長を務めている。各地で、「自然災害から生き抜くために」をテーマに防災教育の大切さを説いている。
東日本大震災で岩手県釜石市の小中学生の生存率が99.8%で「釜石の奇跡」と呼ばれている事例を挙げ、防災教育の大切さと地域防災の在り方について話し、日頃の教育により主体的な行動が行われたと説明した。
過去に大きな津波に襲われたことがある釜石市には、津波記念碑や津波が達した水位を示す碑が各所に設けられている。お年寄りと子どもたちはそれらを見て防災意識を高め、津波が来た時の避難について日頃から一緒に話し合っている。中学生が小学生に防災教育を行い、高齢者を避難させるためのリヤカーを引く訓練をしたり、高齢者宅への安否札配布を行ったりしている。自然災害はいつか起こるとあらためて認識して、その地域のリスクを受け入れる。その上で利便性を享受していくためにも、普段の地域交流が大切であることを説いた。
津波はこの程度の高さだろうと「想定にとらわれず」「最善を尽くしてより高所に逃げ」「最初に自分が率先して逃げる」ことが行われた。親が逃げなければ子どもは逃げないもの。警報が鳴っても最初に逃げることは難しいものだが、避難は早ければ早いほど良いと訴えた。
東南海地震で最も高い津波が襲うことが想定される高知県黒潮町で、防災食の缶詰を製作して売り出していることや、三重県尾鷲市で国語や算数など全ての教科に防災教育を盛り込んでいることなど、各地の事例も紹介。会場では八重山諸島で多数の死傷者が出た明和の大津波についての展示も行われた。