東日本大震災で大きな被害を受けた福島県相馬市の子どもたちが描いた絵の展覧会「3.11ふくしまそうまの子どもたちがえがくたいせつな絵展」が9月3日~7日、石垣市健康福祉センター(石垣市登野城)で開催された。期間中、巨大画用紙を使った大お絵かき会やライブペインティングも行われた。
同展は、「相馬市にこども文庫を作ろう」と活動をしている版画家・蟹江杏さんの呼び掛けに応えたチャリティーイベント。蟹江さんは震災直後から知人のいる相馬市を訪れ、一緒に絵を描くことで恐ろしい体験をした子どもたちの心に寄り添ってきた。絵本や画材の提供も呼び掛け、届いたのは世界中から1万冊以上。この絵本を無駄にしないよう、文庫設立に向けて動いている。
石垣での開催は、蟹江さんの活動に賛同した市内の母親グループ「親子石垣クラブ」の松原カイ代表の発案。八重山地域に住む東北出身者で作る「やえやま東北人会」と共に主催し、航空会社や石垣市などの協力を得て開催にこぎ着けた。
全国巡回展のトップとなる石垣島には、小学生が描いた絵画約70点を展示。連日、親子連れなどが訪れ、子どもたちの絵に見入っていた。津波を描いている絵もあるが、虹や新しい町並みを描いているものもあり、訪れた女性は「子どもたちがどんな思いをしているのかと心配したが、未来に向けた明るい色調も多く、安心した」と話した。
4日には、縦3.6メートル、横5メートルの紙に蟹江さんが表現する「ライブペインティング」と床に敷いた縦9メートル、横10メートルの紙に自由に絵を描く「大お絵かき会」を実施。ライブペインティングでは、ヤマハ音楽教室、国吉なおみさん、エイサー集団の和琉風(とりかじ)が約1時間にわたって生演奏し、蟹江さんが作品を仕上げていった。子どもたちも自然と立ち上がり、絵の具だらけになりながらボードに手形をつけたり、絵を描いたりして思い思いに楽しんだ。
完成した作品は「みんなの大切な物を守るお母さん」の絵。「全国でライブペインティングをしているが、こんなにパワフルな子どもたちは初めて。本当に楽しかった」と蟹江さん。当日は相馬市での活動や子どもたちの現状なども報告し、「絵を通して、子どもたちの心を感じ取ってもらいたい」とも。
同展は、千葉県流山市や長野県などでも開催される。