ユーグレナ(東京都文京区)が6月3日、石垣市健康福祉センター(石垣市登野城)で公開市民講座を開催した。
石垣島に研究拠点を置く同社では、「ユーグレナ(ミドリムシ)」を中心とした藻の仲間の可能性について、市民へ理解を深めてもらおうと同講演会を企画。栄養学とバイオ燃料開発の専門家4人を講師に招き、「藻の仲間で未来を拓(ひら)く!~最新の栄養学とバイオ燃料への活用~」と題して最新の研究について講演を行った。
講座の冒頭には石垣市の中山義隆市長も駆け付け、「ユーグレナさんには日頃さまざまな支援をしていただいている。研究所の話を聞いた当初は不思議なことを考える人もいるんだなと思ったが、聞けば聞くほど夢があり、地球を救う持続可能な技術だと思う。今講演でも石垣島でこんなことをやっているんだという夢が描けるのでは」とあいさつ。
「最新の食品栄養学について」と題して講演した大阪府立大学の中野長久名誉教授は、食料が心身の健康に及ぼす影響が大きいこと、日本の食料事情や身近な食品の問題点などを解説し、「胃で食べる時代ではなく頭で食べましょう」と提案した。近畿大学の重岡成教授は、身体のサビを取る抗酸化ビタミンA、C、Eを「エース」と称し、語源から特徴、摂取法などを分かりやすく紹介。「目指せG(元気)N(長生き)P(ぽっくり)」と結んで会場を沸かせた。島根大学の石川孝博教授は、藻が持つ特徴や今後深刻になるであろう食料不足に対し、食料と競合しない燃料として藻類があることを説明。ユーグレナのバイオ燃料としての可能性について力説した。
講座の最後には同社研究開発部生産技術開発課の中野良平課長も講演。「石垣島は世界で最もユーグレナがいる場所」と述べ、石垣の白保地区に研究所を置く理由や生産工程の概要、食品としての特徴や同社の島内での活動内容について説明した。その上で、高濃度のCO2耐性や他の油の数十倍の生産効率があることなど、ユーグレナの特性についても言及。排ガスからバイオ燃料に替わる持続可能な燃料として目指していることを紹介し、「石垣島から地球を救える可能性がある」とユーグレナに秘められたさまざまな可能性について示唆した。