舞台芸術を手がけている「STAGE 茨(ステージいばら)」(東京都中央区、TEL 03‐3249‐5228)の舞台「ダウロード アップグレード」が11月9日、石垣市民会館大ホール(石垣市浜崎町)で公演が行われた。
舞台は、いじめが原因で17年ひきこもっている青年の家庭を描いたもの。幻想のリカちゃん人形やデザイナーの卵として頑張る妹、ストレスで教師を辞め「女」として戻ってきた父、離婚家庭で育ち異常なまでに「幸せな家庭」を求める妹の求婚者などが織りなす物語。2005年に初演が行われ、国内だけでなく中国上海でも巡演。総観客動員は1万人を超えるなど各地で反響を呼んだ。宜野湾市出身の米須由加利さんが妹役として出演している。
当日は親子連れや中・高校生などが訪れ、迫力あるプロの演技を観賞した。難しい人間関係や悩みなどのシリアスなテーマをコミカルに演じた舞台に会場からは笑いが起こっていた。メッセージ色の濃いラストシーンでは一瞬にして舞台の雰囲気が変わり、観客が目元をぬぐう姿もあった。
舞台を観劇した高校2年生の女性2人は「コメディーのようで、思っていた以上に楽しめた。日本で起こっているさまざままな問題を盛り込んでいるのがすごい」「前日の高校生を対象とした公演も観たが、2回目に気付くこともあった。高校生公演と違う表現もあって面白かった」とそれぞれ感想を話した。
舞台を作・演出し、俳優としても活動しているステージ茨の北野茨さんは「皆さんの拍手が私たちに力をくれた。1人の拍手が10人分くらいに感じられる。石垣島の生徒さんたちも素晴らしい生徒さんたち。もっと多くの方に見ていただきたい」とあいさつした。
同舞台は11月12日に沖縄県立浦添工業高等学校で公演が行われ、来年2月29日~3月1日には俳優座劇場(東京都港区)で凱旋(がいせん)公演が行われる。