石垣市民会館大ホール(石垣市浜崎町)で8月18日、「『21世紀型スキル』と呼ばれている統計学の真実」と題して特別講演会が開かれた。沖縄県統計協会八重山支部主催。
同講演会は、新空港開港に伴い増加している観光客や物産需要の高まりを継続的に維持できるよう、より多くの人に統計を用いた分析やデータ管理などのスキルを養ってもらい、経済振興につなげようと企画。講師に、昨年日本統計学会賞を受賞した慶応義塾大学教授の渡辺美智子さんを招いた。
講演の中で、渡辺さんは「統計は大きなものを見る唯一の科学的な道具である」とし、経営・医療・行政・教育・スポーツなど、さまざまな現場で統計学が生かされていることを紹介。統計の判断にはリスクを伴うことにも言及し、海外では小学生のころから統計の基礎知識や出された数字を客観的に見る能力が養われており、日本は遅れをとっていることを指摘。野球やコンビニのレジなどの身近なデータを例に、統計的な考え方や分析の方法を分かりやすく解説し、出されたデータの背景を加味せず分析結果を出すことへの危険性などを力説した。
その上で、「統計は膨大なデータの中で無駄を省き最適化できるもの。計算はコンピューターがしてくれる時代に人間に要求されているのは統計情報を問題解決に活用する思考力」と説き、「データに基づいて現状を客観的に捉え、物事を科学的にマネジメントする21世紀型スキル(=統計学)を子どものうちから養っていくのが必要。統計というのは決して難しいものではないので、皆さんにも統計を見直してもらい、どんな問題解決のストーリーを自分が描けるのか考えていただければ」と結んだ。
会場には経営者や行政関係者など多くの市民が訪れ、講演中はメモを取るなどして熱心に耳を傾けていた。