八重山ダイビング協会は5月29日、八重山海域のオニヒトデ大発生が収束している可能性が高いと石垣港湾合同庁舎(石垣市浜崎町)で行われた八重山環境ネットワーク総会で発表した。
赤土監視ネットワークの佐伯信雄さんは、2008年のオニヒトデ大発生から2014年までの駆除数の推移や、1981(昭和56)年をピークに大発生した当時を比較し、発表を行った。
今では名蔵湾の半分以上と石西礁湖北礁の大半が保全され、竹富島南域はすでに回復基調にあるとし、収束の大きな要因は「一括交付金による集中的駆除や酢酸駆除導入による人海戦術が効果的だった」と分析。オニヒトデに酢酸を注射する方法は、捕獲・陸揚げの手間を省き、駆除面積と駆除深度を30メートルまで大幅に拡大した。
1980年代の大発生では、空気タンクを用いずにスキンダイビングで捕獲・陸揚げ駆除を行い、間引きとなり逆効果だったと評価されている。大発生の原因は石垣島からの陸域栄養塩量の増加や、宮良川からの赤土流出、畜産汚物のほか、車エビ養殖場の排水も疑われている。
昨年3月にオーストラリアで行われた最新のオニヒトデ研究では、「大雨が降って河川から多量の栄養塩が流出した後に大発生が起きていることが分かった。海域の栄養塩と植物プランクトンの密度がある一定の値を超えるとオニヒトデの幼生が生き残り、大量発生につながっていると発表があった」と報告した。
最後に「今後も予断は許されない。陸域から流出する栄養塩量を減らす対策が必要で、次の大発生に向けた検討もしなければ」と佐伯さん。
八重山環境ネットワークは、八重山各地の漂着ゴミ、廃油ボールの回収や清掃、漂着ゴミ調査など、民間と行政が一体となり八重山の海洋環境問題に取り組む団体。6人の個人会員を含む42人で構成する。