沖縄県内最高峰の於茂登岳(おもとだけ)一帯に生息する動植物の観察を目的に5月27日、「平成29年度於茂登岳自然観察会」が開催された。主催は石垣市教育委員会。
今回は、5月に繁殖期を迎える沖縄県指定天然記念物の「アサヒナキマダラセセリ」の産卵の様子も観測できることから市民の期待が高まっていた同観察会。一般公募で20人が参加し、9時30分に於茂登岳山頂を目指し出発した。
観察に当たって、植物関係は松島昭司さん、昆虫類関係は渡辺賢一さん、鳥類関係は島村賢正さんが講師を担当。山頂では、観察会最大の目的である沖縄県指定天然記念物の「アサヒナキマダラセセリ」を観察。吸蜜行動に始まり、求愛行動や、食草であるリュウキュウチクに産み付けられた卵も観察した。当日は天候にも恵まれ、頂上からは平久保(ひらくぼ)や名蔵(なぐら)、白保(しらほ)など各地域を見渡すことができた。
例年より開花時期が遅れていたおかげで「サキシマツツジ」の花も観察でき、登山中には「アカショウビン」や「サンコウチョウ」の鳴き声を確認。登山口付近ではススキの根などに寄生する「ナンバンギセル」を観察し、ヤンバルアワブキに生息する「スミナガシの幼虫」を観察した際には「カーテン」と呼ばれる外敵の目を欺く巣も観察した。
そのほか、クヌギカレハの幼虫で毒針に刺されると激痛が走りハブよりも恐れられている「ヤマンギ」、日本最大のヤスデである「ヤエヤママルヤスデ」、樹上性で夜行性の非常に小さく見つけにくい「アイフィンガーガエル」も確認した。
予定通り15時に下山。参加した平真小学校3年の喜納正直君は「とても楽しかった。いつもは見ることができない昆虫や植物が見られて良かった」と話した。