映画「おくりびと」技術指導の納棺師、石垣で初実演

映画「おくりびと」技術指導の納棺師が実演

映画「おくりびと」技術指導の納棺師が実演

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 葬祭・法事センター「ゆいホール」(石垣市登野城)で6月5日、映画「おくりびと」で技術指導した納棺師による実演会が開催された。

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 実演したのは納棺協会(本社=北海道札幌市)取締役本部長の堀江満さん。公開された映画や現在、続編として上演されている舞台版で出演者に指導を行った。ゆいの大山剛社長は「八重山では、納棺は行うが儀式としての『納棺の儀』はない。堀江さんと縁があり、儀式を八重山の皆さんにも見てもらいたかった」と開催のきっかけを話す。

 納棺師は亡くなった人への着付けや化粧など身支度を行い、納棺までを請け負う仕事。病院やケアサービスの看護師が必要な処置を施すことが多いが、映画公開によって職業としての注目が集まった。映画での手順や工程は同社オリジナルのもの。堀江さんによると「納棺師」という名前も、社内でスタッフをそう呼んでいたのが映画でも採用されたのだという。

 当日はモデルに経帷子(きょうかたびら)を着付けるところを実演。着衣を脱がせ、白単衣と紫の羽織を着せ終えるまで、映画と同じように無駄のない動きで、周囲の人に肌を見せることなく済ませた。最後に足下からスッと着衣を引き出すと、見ていた人から「おぉ」と静かに感嘆の声が漏れた。モデルの男性は「何をされているのかわからないくらいスムーズだった」と振り返る。

 メークなどについては生前の元気だったころの姿に近づけるよう、本人の化粧道具を使ったり、ヘアスタイルのセットや毛染めなどを行ったりする。顔に傷などがあった場合、遺族からの希望があれば、目立たないように修復する技術もあるという。

 「宗派や地域によって作法や意味合いが違うので、今やったことがすべてではない。だがそれぞれに意味があることを知ってもらいたい」と堀江さん。「納棺師は命に携わる仕事。この仕事をしていると家族愛や人の命の重さを感じる。さまざまな理由があると思うが、命を大切にしてほしいと思う」とも。

 実演会には処置を施す立場である医療、介護、福祉関係者も多く訪れた。終了後には堀江さんの周りに参加者が集まり、メークや技術について熱心に質問していた。

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