石垣市消防本部・消防署が石垣空港跡地(石垣市真栄里)に移転し、新消防庁舎で7月1日、移転式典が行われた。
石垣市消防本部は1928(昭和3)年に私設消防組として発足し、1963(同38)年の消防組織法の改正に伴い同本部を設置。以来、石垣市の火災予防・災害対策・救急救命などに取り組んできた。
1970(同45)年に建設された旧庁舎は老朽化のため移転が検討されてきたが、昨年3月に移転した石垣空港跡地を利用し、旧第11管区海上保安本部石垣航空基地庁舎を新庁舎として改修。4909平方メートルだった敷地面積は9999平方メートルと大幅に広くなり、急患搬送用のヘリポートも完備する。庁舎購入など移転費用は6,925万円。市の新たな防災拠点となる。
鉄筋コンクリートの庁舎は、1階に24時間体制の通信室、出動待機室、仮眠室、食堂、2階に消防総務課、会議・研修室などを設置。敷地内には第1出動隊の救急車、ポンプ車などを備えた第1車庫、第2出動隊のはしご車、水上バイク、救助艇などを備えた第2車庫のほか、消防団詰め所、資機材庫、油脂庫などを有している。
石垣市では数年以内にアクセス道路の開通、八重山病院の近隣移転を予定しており、さらなる効率化を図る。
同日行われた移転式典では、消防団員による一斉放水、真栄里公民館による勇壮な獅子舞、女性防火クラブ員らによる踊り「鷲ぬ鳥節」も披露され、華やかに新庁舎完成を祝った。
大工嘉広消防長は「敷地面積だけでも格段に広くなったので、有効に使いたいと思っている。市民の皆さんの身体・財産を守るという使命の下にこれからも努力してまいりたい」と意気込みを語った。
同署には職員59人、車両16台を配備しており、庁舎内研修室ではこれまで外部で行ってきた各種講習会にも対応する。
勤続17年目の消防隊員・黒島浩光さんは「これまでに開催できなかった講習会や大規模訓練などが行えるようになった。現段階では旧庁舎に比べ現場到着時間が少し長くなる懸念はあるが、今後のアクセス道路開通、県立病院移設などを考えると将来的な展望のある庁舎だと思う」と、立地条件のさらなる充実に期待を込めた。