八重山民謡のひとつ「つぃんだら節」を歌う「野底つぃんだら祭り」が野底岳のふもとにある野底小学校のグラウンドで、8月12日に開催された。
つぃんだら節は、18世紀に琉球王府の統治下で黒島から村分けで石垣島の野底に強制移住させられ、黒島と野底に生き別れとなった恋人たちの悲嘆を歌ったもの。「つぃんだら」という言葉には「愛しい」と「哀しい」という両方の意味がある。
マーペーが、黒島を見ようと野底岳に登ったものの、黒島のある方面には石垣島で一番高い山の於茂登岳が立ちはだかり、島影すら見えず、絶望に打ちひしがれそのまま石になったという伝説があり、野底岳は野底マーペーと呼ばれるようになった。
同祭りは、野底小学校の設立50周年を記念して開催されるようになり、今年で14回目となる。ステージでは、野底小学校児童によるエイサー、リコフラサークルによるフラダンス、リレマルハレパブによるタヒチアンダンス。池田真作さんのギターソロライブとウイングキッズリーダーズの創作ダンスのコラボのほか、影絵劇のマーペー物語などが行われた。
続いて行われた「つぃんだら節の宵」では、6組が登場し、それぞれのつぃんだら節を歌い上げた。途中、黒島公民館の黒島口説(くどぅち)の芸能も披露された。
三線教室を営む岡山稔さんは「つぃんだら節の独特な節回しは、これを聞いて故郷に戻りたくなるようなそういう歌。『つぃんだら』には『かわいい・かわいらし』と『かわいそうだ』という二つの意味があり、『つぃんだら、つぃんだらよー』と歌うとき、前半は『かわいい』という思い、後半では『かわいそうだ』という情感を込めて歌うべきもの」と話し、それぞれの歌い手へ講評した。
最後にステージにたった地元若者の「マーペーやからーず」のライブでは、故郷である野底への思いなども語られた。