子ども演劇「現代版組踊オヤケアカハチ~太陽(てぃだ)の乱~」が12月22日、石垣市民会館(石垣市浜崎町)大ホールで上演され、大盛況だった。
舞台の最終シーン、物語の語り部となった伊波南哲・新聞記者役も全員が踊ったフィナーレ
同劇を演じる子どもたちは、ウイングキッズリーダーズで八重山地区の小学校4年生から高校3年生までの約90人が参加している「子ども演劇ワークショプふるさとつくりリーダー養成講座」の受講生。同活動の成果発表として上演している。主催はやいま浪漫(ろまん)の会(磯田康子会長)。脚本は平田大一さん、指導・演出は比屋根秀斗さん。
物語は、1500年に石垣島で起こった「オヤケアカハチの乱(最近ではオヤケアカハチの戦いともいわれている)」に題材を取っている。逆賊と言われていたオヤケアカハチは、実は農民のために立ち上がった英雄ではないかという視点で書かれた「長編叙事詩オヤケアカハチ」(初版1936年、改訂版1964年)の著者伊波南哲の元に、八重山の新聞記者が訪れるという設定で物語は語られ、波照間島で育ったオヤケ赤蜂(アカハチ)ホンガワラと長田大翁主(ナアタファジィ)が、同戦いで対峙するが、実は親友で命をかけた約束をしていたのではないか、という視点で描かれる。
現代版組踊は、沖縄の伝統芸能「組踊」の様式をベースに、現代的な「音楽」「舞踊」「台詞」の3つの要素で構成された舞台形式であり、演劇を通した人材育成と地域おこしを目的に行われている活動。音楽は、池田真作さん、岸本峰子さんのボーカルに3人のミュージシャンが迫力のある演奏で、子どもたちの演技やダンスを支えた。
今回の公演が卒業公演となった磯田まどかさん(八重高3年)は「昼・夜公演ともチケット完売でたくさんの方に来場いただいて、とてもうれしかった。自分にとって9年間続けてきたこの活動は、とても大切な居場所であり無くてはならない存在となっていた。先輩方や家族に支えられ、学んだことも数多く、とても大切な仲間もできた。最後の舞台に立てて、とても感慨深かった。これからも、この活動が続いていくことを願う」と振り返る。
今年で2回目を観劇したという30代女性は「子どもたちがみんなキラキラしていて、とても元気をもらえた。小学生や中学生とは思えない演技力も素晴らしい。これからも、アカハチの舞台はずっと続けていってほしい。毎年見て、舞台で成長して行く子たちを見ていきたい」と話す。